CEDEC2014に参加してきました

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毎年、CEDECが終わると夏も終わりだなと感じてしまう"れごお"です.

みなさま、今年の夏はいかがお過ごしでしたか?

さて、CEDEC2014期間中に公式タグ(#cedec2014)で、色々とつぶやかせていただきましたが、折角なので軽く振り返りをしてみたいと思います.

技術話は話すのも聴くのも実験するのも大好きなので、このケイ・プロジェクトの活動に直接的な関係が無いものでも取り上げたり、時間が許せば追って実験なんかもしてみたいと思います.

いやぁ、今年はネタというか宿題というか、色々と満載でした.

そんなわけで、気になったセッション毎に取り上げていきます.

アジェンダはこんな感じ...

  • 『シリコンスタジオの最新テクノロジーデモのレンダリング技術解説』(一日目)
  • 『「deep down」のグラフィックス表現の技術解説』(一日目)
  • 『Position Based Dynamics Omlette コンピュータグラフィックス関連の最新論文紹介』(二日目)
  • 『200 Gflopsそしてそれ以上に到達する時代のモバイル・レンダリング』(二日目)
  • 『西川善司のゲーム開発マニアックス「グラフィックス編」2014』(三日目)
  • 『KNACK Engine Postmortem』(三日目)

...あら、個人的に面白かったセッションを挙げてみたら、レンダリング話ばかりで主戦場であるはずのスマホ市場に関するセッションがほぼ無いですね...

ま、こういったカンファレンスは、今必要なことよりも1~3年ぐらい先を見据えて参加するのが良いと考えているので良しとしておきます

さて、それでは、それぞれの項目毎に雑感を書かせていただきます.


『シリコンスタジオの最新テクノロジーデモのレンダリング技術解説』(一日目)

一日目最終コマの講演だったのですが、セッションを回りながら、「去年よりも聴講者に前提として期待している知識レベルが一つ上がってしまったな...」と感じておりました。

具体的には、「物理ベースレンダリング(PBR:Physically Based Rendering)」が実用段階になっていて、それを実現するための手段として「Deffered Rendering」とか「ボクセルコーントレーシング」とか「Screen Space Reflection」なんて言葉が前提知識として話されているのに驚いておりました。

盛り上がり的には、「HRDレンダリング」という言葉が初期に出てきたあたりの盛り上がりを見せているんじゃないかと思います。

...3Dグラフィックスの話題としては、かなり応用的な話題になっているので、これから3Dグラフィックスに興味を持って始めたいという方たちにはなかなか大変な世の中になってきたな...などと考えてしまいます。

さて、そんな中、この講演で紹介されていたシリコンスタジオさまのテクノロジーデモは、かなりびっくりしました。

(シリコンスタジオさまのページ(  http://www.siliconstudio.co.jp/ )から見ることができるので、見ていない方は是非)

講演の内容はテクノロジーデモの技術内容の紹介で、個人的にはこのテクノロジーデモ(というか、物理ベースレンダリング全般)の問題点として、ノイズ(エイリアシング)の問題解決に苦労したという点にとても驚きました。

イメージ的には、物理ベースレンダリングってレイトレ技術とかレンダリング方程式を元に落とし込まれている手法なので、実装後の苦労は少ないと勝手に思い込んでいたんですけど、実際にはエッジ周辺なのでアンダーサンプリングが起きてしまってエイリアシングが発生するという話は、聴いて納得という感じでした。

仮に私が物理ベースを試験実装してみると、エイリアシングが発生した時点で、実装に間違いがあったんじゃないか?とか考えて、エイリアシングの発生原因がアンダーサンプリングだと思い至るまでに長い時間が掛かるんだろうなぁ...とか、考えながら講演を聴かせていただきました。

難しい話はさておき、今年のCEDECを象徴するデモだと思いますので、とにかくこの動画はエンジニアじゃ無くても見ておいた方が良いと思います。

『「deep down」のグラフィックス表現の技術解説』(一日目)

同じく一日目の講演で、カプコンの新しく開発している"Panta Rhei"の技術解説でした。

端々の単語的には、難しい単語が並んでいて頭が痛い感じなのですが、Unity や Unreal Engine4 のような市販されているゲームエンジンではなく、(カプコン社内として利用する)インハウスツールとして選択されている機能という観点でとても興味深い講演でした。

ここでも、PBRという単語や G-Buffer という単語は当然のように使われていて、昨今の技術トレンドから以前(?)の"MT Framework"から構成をドラスティックに変更したかったというモチベーションが感じられてとても面白かったです。

ケイプロの活動や同人開発者の活動から考えると、かなり Too Mach な話題なのですがゲーム業界の向いている方向性を掴むという意味合いでは、とても重要な講演だったと思います。

『Position Based Dynamics Omlette コンピュータグラフィックス関連の最新論文紹介』(二日目)

こちらは二日目に株式会社セガの中川 展男さんが発表した、質点系物理の論文紹介です。

主に、位置ベース物理に関するSIGGRAPH の論文をまとめて要点を紹介したものになります。

Position Based Fluid なんかは、個人開発者が実装してアプリで利用するというのは少し敷居が高い感じがするんですけど、2012年にカプコンさんがCEDECで紹介していたドラゴンズドグマの物理(ベルレ積分)だとかこの講演の前半部分だとかは、実装が簡単でこなれているわりには強力そうな考え方なのでこのタイミングで(再度)研究してみても面白いテーマだと感じました。

(ドラゴンズドグマの物理で紹介されていた技法と今回の前半部分の技法は、本質的に同じものなのですが...)

これはケイプロ向けの実験実装ネタとして一番の候補になると思いました。

『200 Gflopsそしてそれ以上に到達する時代のモバイル・レンダリング』(二日目)

Epic Games のUnreal Engine 4 関連のセッションに該当するのですが、モバイルレンダリングの話のようなので参加してきました。

セッションのまとめとしては、モバイル端末のスペックとハイエンドPCのスペックを比較すると、思ったよりもその差は少なく、ハイエンドPC向けに作成したアセットや開発パイプラインに多少手を入れるとほぼそのままの形で利用できる日は近いって話でした。

モバイル端末向けのゲームにも物理ベースレンダリングの採用事例がでてきてもおかしくない状況なんだとか...

セッションでは、Appleが推し進めようとしている Metal とか、Android の AEP(Android Extention Pack)とかの話があり、モバイルグラフィックスAPIもOpenGL ES 3.x から OpenGL 4.x に向かって大きく動き始めているという印象を受けました。

 

『西川善司のゲーム開発マニアックス「グラフィックス編」2014』(三日目)

最終日の後半に行われた西川善司さんのパネルディスカッションで、グラフィックス関連のセッションの総まとめといった感じでした。

議題は3点で、

  1. 物理ベースレンダリング
  2. 仮想現実(と拡張現実)ゲーミングにおけるレンダリング技術
  3. レイトレーシング技術

といった話題が取り上げられていました。

個人的には、現状のリアルタイム物理ベースレンダリング技術とレイトレーシング技術は関連性が深いものの、リアルタイムレンダリングの世界とレイトレーシングの世界はマシンスペックなどの制約によりなかなか近づけないものだという印象をもっておりました。

なので、アジェンダを見たときには、グラフィックス界隈の現状から夢の話まで...みたいな流れになるのかと想像していたのですが、(VRヘッドセットの)Morpheusのような技術をトレンドとして捉えるならば、急速にリアルタイムレイトレーシングの世界が開けてくる(リアルタイムレイトレーシングの世界にシフトする必要がある)という事に気付かされました。

個人的な見解でまとめてしまうと...

「VRヘッドセットではスクリーンスペースという概念が(ほぼ)無いので、現状のスクリーンスペース関連の技術や既存の(DOFなどの)ポストエフェクトは意味をなさなくなるのに、VRヘッドセットではどこを詳細に見られるのか予測が難しいのでフォトリアルを求めているのでリアルタイムレイトレ技術に注目せざるを得ない」

...ということなんだと受け取りました。

『KNACK Engine Postmortem』(三日目)

PS4のローンチタイトルの"KNACK"のポストモーテムでした。

ほどよく最先端であり、(ポストモーテムなので当たり前なのですが)ほどよく現実的であり、実用化するためのグラフィックス技術のベンチマークになるような講演だったと思います。

中でも Screen Space Ambient Occlusion の話と、Sphere Map のサンプリングの話は、スマホ(小~中規模)アプリでも実践できそうな話題で、実験実装してみたいと思いました。

まとめ

個人的な興味だけでセッションを選択してしまったので、アプリ開発という面ですぐに実践できるようなネタは少なかったのですが、とても刺激になったカンファレンスでした。

ケイプロのアプリに反映できるのかわかりませんが、少しずついただいた知識を整理して実践につなげていこうと思います。

 

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